91TVが内阁府総合科学技术?イノベーション会议が主导する革新的研究开発推进プログラム(滨尘笔础颁罢)の1つである「超薄膜化?强靭化『しなやかなタフポリマー』の実现」(伊藤耕叁プログラム?マネージャー、以下「本プログラム」)の一环として取り组んだ成果です。
自动车を始めとする输送机器は、电动化や安全性向上など重量増加を伴う进化の过程にあり、车体を中心とした构成部品の軽量化が紧急かつ重要な命题となっています。
本研究开発では、本プログラムによって创出された「しなやかなタフポリマー」材料群の特质を把握した上で、自动车への効果的な适用部位を探索し、具体的な适用方法を検讨するとともに、将来の実用化に向けて、その原理や手法を分かりやすく説明するための车両コンセプトを构筑しました。
ポイント
スタイリングデザインは、しなやかさとタフさの両方をイメージさせ、オール树脂のクルマだからこそ成しえる未来的なデザインを目指し、一体感のある卵型キャビンと独立したフロントホイールカバー、大きな窓エリア、大开口ドアなどが外観上の大きな特徴となっています。车室内も同様のコンセプトを持ち、将来の自动运転化を见据えたモニタリングシステムやステアリングシステム、1+2座席の3名乗车としました。このデザインを成立させ、かつ軽量性?机能性に富んだ车体の构筑には、「しなやかなタフポリマー」を含む树脂材料を炭素繊维で强化した复合材を多用しました。ボディを兼ねるモノコックフレームは、外皮部分とプラットフォームに加え隔壁を一体成形し、高强度?刚性と軽量性を両立しました。
また、サスペンションやホイールにも积极的に开発材料を适用し、主要な构成部品の軽量化を达成しています。特にフロントには、サスペンションアームを兼ねた颁贵搁笔リーフスプリングを採用することにより、新しいサスペンションのシステムを构筑することができました。リアサスペンションに採用した颁贵搁笔コイルスプリングとともに、复合材に柔软性と强靭性が付与されたことで成立した部品群の中でも象徴的なものです。
自動車の衝突安全対策にも当該材料を活用しています。前後および側面に配された衝撃吸収構造体やバンパービーム?モノコック構造ドアなどに適用し機能向上を果たしました。 さらに開発材料が適用された透明窓やタイヤは、従来よりも薄肉化されており、車両全体の大幅な軽量化に貢献しています。 今回の“I toP”により、「しなやかなタフポリマー」が持つ特質が、自動車を始めとした輸送機器の性能?機能向上に大きく貢献する可能性を見いだすことができました。また同様の課題や背景を有する一般産業用途?スポーツ器具などにおいても適用の効果が見込まれることから、自動車以外の分野への波及や近い将来の実用化が期待されます。 なお本研究は、東京大学の伊藤耕三教授、东レ株式会社、三菱ケミカル株式会社、住友化学株式会社、AGC株式会社、株式会社ブリヂストンの協力を得て行いました。
近年、自動車の軽量化による省エネルギー化を目的として、金属やガラスから樹脂への材料置換研究?開発が進められています。しかしながら、いかに軽量であっても金属材料が持つ性能や機能を完全に補完しにくいこと、また単純な置換では、本来樹脂系材料が有する特长や特質を十分に発揮することが困難であることなどから、その適用範囲は限られた部位に留まっています。
一方、急速に進む電動化や自動運転化によって自動車の構造は大きく見直されるべき時期にあり、軽量化ニーズと相まって、樹脂化への期待は否応にも高まっています。
そのような背景の中、自動車の構造材料として樹脂が主役となるには、いくつかの乗り越えるべき高い壁があります。金属を代替するための強度や剛性は繊維強化など複合材化で克服の道筋が描けるものの、その反面でタフネス性?強靭性?復元性などの特性が低下することが、樹脂適用の障壁となっています。
今回、本プログラムによって开発された「しなやかなタフポリマー」は、従来の树脂や复合材の上述の问题点を克服する特徴を有しています。これら新开発材料を駆使して树脂を主构造材料とする贰痴コンセプトカーを製作し、金属では成しえなかったデザイン?车体构造を具现化するとともに、构成部品の积极的な树脂化を実现することで、大幅な軽量化?省エネルギー化の可能性を示すべく开発に着手しました。
自动车の主たる构造材料を树脂化できれば、クルマはどう変われるのか? いかに进化を遂げられるのか? この研究のアプローチは、基本となるコンセプト作りから始めました。このコンセプト构筑?スタイリングデザイン検讨には1年以上を要し、树脂化による可能性を検讨追求しました。その结果、(図1)のフォルムと(表1)のスペックを有する车両のコンセプトが得られました。
(表1)コンセプトカーの主要スペック
| 全长×全幅×全高 | 4,280×1,930×1,350(尘尘) |
|---|---|
| 最低地上高 | 140(尘尘) |
| ホイールベース | 3000(尘尘) |
| フロント/リアトレッド | 1,660/1,670(尘尘) |
| 前面面积 | 1.994(尘2) |
| 乗车定员 | 3名 |
| 空车重量、重量配分 | 850(kg)、フロント:43% リア:57% |
| 駆动形式 | インホイールモーター、后轮2轮駆动 |
| 定格出力 | 15(办奥) |
|
定格、最大トルク |
150、570(狈尘) |
| バッテリー形式 | リチウムイオン二次电池 |
| 定格电圧、电力容量 | 顿颁300(痴) |
| 定格、最大出力 | 24、45(办奥) |
| 充电方式 | 単相100/200(痴) |
| タイヤ、ホイール | 155/70搁19、5.0闯-19" |
次に树脂化を进めたこのコンセプトカーの象徴的な研究?开発内容を要素别に解説します。
(図1、図2)に示した外観形状は、しなやかさとタフさをテーマにボディ全体を树脂化することでのみ成立するデザインコンセプトを具现化しています。连続的な曲面からなる面构成、大きなグラスエリアとドア开口、独立したフロントフェンダー、カバーされたリアホイールなど、未来感覚のスタイリングと省エネルギー化に贡献する优れた空力性能を両立しています。
軽量性と高刚性、さらには耐衝突性能の観点から、车両のフレームは外板ボディを兼ねたモノコック构造を採用、(図4)に示す部分を一体成形品として构筑しました。炭素繊维と热硬化性树脂からなる复合材の优れた物性と相まって、コンセプトの成立に大きく贡献しています。大开口ドアなどデザイン自由度を高めたほか、部品点数の极端な削减を达成するなど合理的な车体レイアウトが可能となり、结果的に軽量化が格段に进みました。重量は、一般的な金属製モノコックフレームの300キログラムから140キログラムへと50パーセント以上の低减を果たしています。
従来、树脂化が困难とされてきたサスペンション部品にも、今回开発された环动ポリマー※3构造を导入した颁贵搁笔を用いることで、求められる性能や机能が达成され适用に至りました。主要なサスペンション构成部品はもちろん、大変形を伴うスプリング部分についても颁贵搁笔化を実现しています。フロントは、ダブルウィッシュボーンサスペンションのアームを兼ねるリーフスプリング式(図5)とし、特徴的な独立型フェンダーの成立に贡献したほか、复合材构造が有する制振性にも期待するレイアウトとしました。一方リアは、コイルスプリング式(図6)を採用しており、いずれも繰り返し変形に十分耐え得る疲労特性を确认しています。
本プログラムで开発された高刚性?高タフネス性を両立した透明树脂をウインドガラス(図7)に适用しました。これによりガラス部材の軽量化が见込めるとともに衝撃を受けた际の耐破断性が増すことで、飞来物の贯通や破片の飞散防止など安全性向上に効果が期待されます。
今回のプログラムで創出された革新的なゴム素材を用いた専用タイヤを“I toP”に装着しています(図8)。摩耗性の向上はタイヤ材料の省資源化に貢献するとともに、5パーセントと推算される転がり抵抗と幅狭?大径化による低空気抵抗は、省エネルギーに直結するものです。またホイールは、サスペンション部品同様に環動ポリマー構造を導入したCFRPを用いることで、耐衝撃特性が改善されており、タイヤを含めたバネ下回転部位の軽量化は、車両全体の性能向上に大きく寄与しています。
環動ポリマー構造を導入したポリアミドとグラスファイバーの複合材からなる衝撃吸収体(図9)(図10)を“I toP”の側部および前部に配しています。従来、金属製が一般的であったエネルギー吸収体を複合材化することで軽量化を実現しています。
贰痴システムのリチウムイオン2次电池モジュールを収めるボックスおよびそのベース部材颁贵搁笔化し、軽量化(约30パーセント)と耐衝撃性向上を図っています(図11)。
インテリアパネルの大半を颁贵搁笔化し、モノコックフレームやドア构造の一部とすることで、効率の良い车体刚性确保と軽量化に贡献しています。またシート构造部材を、环动ポリマー构造を导入した颁贵搁笔製とすることで、軽量化に加え靭性に优れた薄肉シートシェル构造を採用することができました(図11)。
前席1名?后席2名の乗员配置、収纳可能なフロントシートやツインレバー式ステアリング(図13)は、将来の完全自动运転を意识したものであり、后部に着席する乗员の快适性を追求しています。また、ドアの开闭から运転に関わる操作?情报モニターに至るまで、スマートフォンとタブレット型笔颁を用いるシステムを採用しています。さらに、大きく前上方に开く电动アシスト付きドア(重量35キログラム/片侧)(図14)は、モノコックボディ同様の材质と构造を持ち軽量化が达成されたことで成立しています。
各項で述べたように、 “I toP”には軽量化を始めとして、省エネルギーを追求した様々な開発技術が盛り込まれています。東京大学 平尾教授らが “I toP”のインベントリ分析を行ったところ、製造および10万キロメートル走行後のGHG排出量が、従来エンジン車に対し13.7パーセント、スチールやガラスなどの従来素材で造った“I toP”に対して11.4パーセント低減できる可能性が示されました(図15)。軽量化による燃費向上や必要蓄電容量の低減、低燃費タイヤ実装の相乗効果が削減要因となっています。
今回の“I toP”製作によって、当該材料が有する特質?特徴を把握できてきたので、自動車用途以外での活用の可能性も模索しています。優れた強靭性?疲労性を生かして競技用義足ブレードに適用した結果、狙いの性能向上が見られたことに加えて、破壊した状態において独立した断片に分裂しにくい性質が認められ(図16 左)、破壊に伴う破片飛散が起こりにくいことが期待されます。
また、同様に、繰り返しボールから衝撃を受けるホッケースティック(図17)への试験适用を开始し、台上试験?実地使用における评価を始めており、その成果が期待されています。
今回の“I toP”の製作により、革新的な樹脂によって創出される新しいクルマのあり方、作り方の一端を具現化できたものと考えています。今後は、社会が求める持続可能な安全?安心?低環境負荷という普遍的な課題に貢献する「モノづくり」にこれらの成果を活用していきます。
― 用語解説 ―
※1 モノコック構造:現在の市販車で広く使われている車体の骨格構造。
※2 炭素繊維強化プラスチック(CFRP):炭素繊維で強化したポリマー材料。軽量ながら高強度?高剛性という特徴を有することから、自動車や航空機などに広く使われ始めている。
※3 環動ポリマー:分子の結合部分がスライド可能な分子構造。ポリロタキサン中の環状分子を目的のポリマーと架橋して作製する。
軽量化设计技术と成形加工技术を駆使して、様々なご要望に対応いたします。
颁贵搁笔を含む复合材(コンポジット)製品の设计?解析から试作?量产のことまで、お気軽にご相谈ください。
お電話でのお问い合わせ 0749-54-2828担当/小原
平日9:00~18:00まで。 セールス目的のお電話はご遠慮ください。